1.孤独死における特殊清掃とは |
孤独死に関する本「孤独死防止のための終活実践マニュアル」を出版してから、孤独死のことでよく質問を受けることがあります。
「孤独死が発生して一番困ることは何ですか?」という質問です。
その答えは、遺体が腐敗した匂い(腐敗臭)です。
この腐敗臭は、言葉で表現できるものではありませんが、強烈な匂いです。
夏場のように暑い時期に亡くなると人の遺体は案外早く腐敗します。
たとえ孤独死したとしても、腐敗臭を発生させずに発見された場合は、大事にはならず、葬儀や遺品整理、相続手続を進めることができます。
それでも、この腐敗臭がきっかけとなって、孤独死が発見されるケースも多いですが、時すでに遅しといった状況です。
ですから、腐敗臭が発生した場合は、現場の清掃が最優先事項となります。
この腐敗臭が発生した現場の清掃を行うことを「特殊清掃」といいます。
特殊清掃の目的は、アパートやマンション等の賃貸物件で、契約上規定されている原状回復義務です。
つまりは、部屋を借りる前の状態にするために、清掃するわけです。
現実には警察の介入により、遺体を安置した後に、特殊清掃が始まります。
しかしながら、腐敗臭を取り除く作業は、並大抵なことではありません。
腐敗臭を発生させている現場は、部屋中に細菌やウイルスが漂っている状態です。
そのため、まず消毒作業が行われます。
その他に臭いが充満しているので消臭作業も行います。
また、ハエやうじ虫等の害虫がすでに発生している場合は、害虫の駆除も行います。
消毒・消臭・害虫駆除の作業の後、特殊清掃がスタートします。
遺体の現場に付着している血液や体液の染み込んでいるものを除去します。
ベッドやフローリングで亡くなった場合は、布団を廃棄したり、フローリングを剥がします。
また、トイレや浴槽で亡くなった場合は、便器や浴槽を取り外してから清掃します。
それでも臭いが染みついている場合は、内装工事を行ったり、臭いを元から取るために脱臭機等を用いて、完全な駆除を行います。
孤独死による腐敗臭が発生した現場に立ち会った場合は、すみやかに特殊清掃業者に依頼するのが賢明です。
特殊清掃業者を探す方法としては、自分で探す以外にも葬儀社や遺品整理業者に相談してみるのも一つの方法です。
また、孤独死問題に取り組んでいる団体は数多くはありませんが、そのような団体に相談してみるのもよろしいかと思います。
特殊清掃は時間との戦いでもあり、遺族にとっては、頭を悩ますことです。
信頼できる業者を見つけられるかが、孤独死解決のための最大のポイントであると思います。